プロジェクトの詳細
●プロジェクトの主旨
高度経済成長期以降、常に変化する日本の都市の中で、日本人の「都市空間感覚」は弱くなる一方です。現在も、たくさんの開発やまちづくりが進んでいますが、開発やまちづくりを進める側にとっても、それを受け止める市民の側にとっても、「都市空間像」の拠りどころがありません。開発やまちづくりが単純に「悪」である、あるいはその逆である、と、とても議論とは言えない議論だけがなされ、あるべき都市空間について、建設的な議論すら始められない状況になっています。結果として出来上がった都市に慣れてしまい、そのことがさらなる「都市空間感覚」の弱体化につながる、という悪循環が生まれています。
戦後一貫して都市の景観はこわされ続けてきましたが、同時に私たちの「都市空間感覚」もこわされ続けています。「悪い」景観の中で生まれ育った子ども達は、「良い」景観に対する感覚すら持つことができません。
私たちは、このような「都市空間感覚」を取り戻すために、都市に定点観測カメラを設置し、30年ほどの長期にわたって都市景観のうつりかわりを記録するプロジェクトに取り組んでいます。私たちが撮りためた画像を視ることにより、近い未来の市民が、まちの景観の成り立ちを理解し、景観づくり、まちづくりの最良の判断を下せるような、画像アーカイブを作ることを目指しています。
●プロジェクトの概略
現在は三つの取り組みを進めています。
・・・・・・・・・・(具体的な考え方と方法)・・・・・・・・・・・・
●定点観測カメラの撮影と設置の考え方と方法
カメラの撮影を行うときには、電源の確保、データ伝送方法の確定などの「技術的な課題」と、撮影対象の「プライバシー保護の課題」の二つの課題があります。「技術的な課題」については、条件が設置場所でそれぞれであるため、個別に解決することとして、「プライバシー保護の課題」について研究会の考え方を記しておきます。
○プライバシーとは何か
プライバシーとは主に個人の肖像(顔が特定出来る)を指しますが、ここでは住宅等の室内もその対象に含めて考えておきます。特に近年は、インターネットを活用して特定の建物やエリアを監視する「防犯カメラ」あるいは「監視カメラ」が急速に普及しています。このような中、例えば「監視社会を拒否する会」のように、この動きを「監視社会」の第一歩として捉え、様々な論点を提起する活動も生まれています。一方で、トラブルを避けるため、自治体で「防犯・監視カメラ」の設置の条例や要綱も制定されています(杉並区など)。防犯・監視カメラと、本プロジェクトで開発している「定点観測カメラ」は本質的に異なるものですが、プライバシー保護に対する考え方を明確にしておく必要があります。○防犯監視カメラと定点観測カメラの違い
「定点観測カメラ」は、そもそも都市空間の定点観測を目的としているもので、防犯や監視を意図するものとは、その撮影の対象、撮影の頻度等が大きく異なります。その違いを表に整理しました。特に「撮影の対象」として個人を識別出来る画像を撮影するかどうかが、大きな違いだと言えます。「定点観測カメラ」は、この点について「個人ではなく風景を撮影する」ことを目的としており、要綱や条例の形で定められた防犯監視カメラに関する取り決めからは除外して扱われるべきものと考えます。
表 防犯監視カメラと定点観測カメラの違い○都市空間の定点観測事業の考え方
上記を前提にしつつ、私たちは、[都市空間の定点観測事業の指針]と、それを踏まえて、当プロジェクトと設置協力者(定点観測カメラを設置する場所の管理者)の間で交わす「確認書」を作成しています。
指針の中では、まず定点観測の目的を明記して防犯監視カメラとの違いを明確にしています。プライバシーの保護については、特定の個人の肖像や住宅の室内が識別可能な画像の撮影は行わないこととし、このことを、撮影前に研究会と設置協力者が撮影画像を見ながら具体的に確認をすることにしています。このように研究会と設置協力者が事前に確認をすることを、プライバシーを保護する 最低限の手続きとしています。
しかしながら、たとえ街並みであっても、自分のまちが撮影されることに不快感を覚える方がいらっしゃることと思います。そのため、設置場所協力者の申し出を受けて、必要に応じて、撮影開始前後に地域の住民への周知活動を、適切な方法をもって行うことにしています。具体的には地域の町会や自治会への説明会や看板等での周知などを行うことを考えています。○画像の利用について
撮影された画像とその著作権は研究会で一括管理しますが、もちろん設置協力者は(自己利用に限り)、無料で画像を利用いただけます。また、第三者が利用する場合は、研究会の許可を得ることが必要です。現在このサイトでも定点観測の画像は公開していませんが、ゆくゆくはウェブ上での認証の仕組みを整えて、公開出来るようにしていきたいと考えています。いずれにせよ、撮影された画像を利用する際に、研究会と設置協力者で十分な確認を取りながら進めていきたいと考えています。
●既設の定点観測カメラサイトからのデータ収集の考え方と方法
○プライバシー保護について
画像を収集する既設の定点観測カメラサイトについては、私たちが「プライバシーを侵害していない」と画像を見て判断したものを収集の対象としています。既設のサイトととは、その設置者と私たちの間で「確認書」を取り交わしますが、それは収集の方法や画像の利用の方法を確認するもので、プライバシー保護の考え方や手続きを確認するものではありません。○画像の利用について
収集した画像は、原則的には当研究会内部での閲覧を想定しています。収集した画像を不特定多数へと公開(WEBページでの公開を含む)する際には、改めてご相談を差し上げ、その形態や方法についてご確認をいただいた上で、諾否をいただくという形をとらせていただきます。
地域での景観まちづくりのツールや小学校の生活科の教材として、色々と活用出来ると思います。ここまで読んでいただいて、もう少し詳しく知りたい、興味を持っていただいた、あるいはご協力をいただける方は、以下まで、お気軽にお問い合わせ下さい。(「協力のお願い」のページもあわせてご覧下さい。)
お問い合わせ先 info@teiten-camera.org