定点観測技術メモ
私(饗庭)はコンピュータ−はあまり得意ではなく、定点観測カメラの設置やアーカイブなどで、色々苦労をするのだが、苦労をしたわりには、やったことをすぐに忘れてしまう。この「メモ」は定点観測についての技術的なことをまとめた備忘録のつもりで書き始めたが、少なくとも私と同じレベルの人にとっては役に立つのではないかと考えたので、公開することにした。(饗庭 伸)
目次
○定点観測映像をつくる(2005年6月)
○定点観測画像を見せる(2005年5月) ○工学院カメラを設置する(2005年3月)
○QTVRをつくる(2005年2月) ○WebPIlotを設定する(2004年12月)
○定点観測のブラウザを探す(2004年11月) ○都立大カメラを設置する(2004年7月)
●定点観測映像をつくる(2005年9月)
定点観測の画像をつなげると、要するにパラパラ漫画の要領で、とてもおもしろ映像が出来る。その手順はちょっと面倒だ。
映像の作り方は、色々な方法があるのだろうが、私は簡単なQuicktimeを使っている。 Quicktimeは、proにアップグレードすると、「イメージシーケンスを開く」というコマンドを使えるようになる。これは、同じフォルダに入っている番号順のファイル名を持つ画像ファイルを、番号の順番につないで映像(スライドショウ)にしてくれる、という機能で、スライドショウの早さ(1秒に60コマから、10秒に1コマというスピードまで)を選べる。
これを1秒に24コマくらいに設定すると、ちょうどいい早さの画像が出来る。ポイントは、この「番号順のファイル名を持つ、画像データ群」をどうつくり出すかにある。必要な作業は二つ、「沢山ある画像ファイルから、必要なファイルを抜いてくる」と「抜いたファイルに番号順の名前をつける」である。1)ファイルをどう抜いてくるか その1 ファイル名をリネームする
画像は10分に一枚、とか、30分に一枚といった間隔でサーバーに蓄積されている。ファイル名の付き方は、将来的には統一しなければならないが、現段階で使っている撮影ソフトにより様々で、「カメラ名+年月日時分」か、「カメラ名+通し番号」のどちらかである。前者は例えば「waseda050901125530」といった名前、後者は例えば「tamanew01678」といった名前である。これらは個別の独立したファイルなので他に、「ファイル作成時=撮影時」というデータがついている。ファイルを抜くというのは、例えば毎日12時の画像を一年分欲しい、ということになるので、ファイル名ではなく、主に「ファイル作成時」を見て、ファイルを自動的に抜いてくる、という作業を仕込むことになる。しかし、「ファイル作成時」を見るというのは、いかにも大変そうだ。そこでまず、「ファイル作成時」を「ファイル名」にするという作業をすることになる。つまり、ここでは、例えば、2005年9月1日12時55分30秒に撮影された「tamanew01678」というファイルのファイル名を「tamanew050901125530」というファイル名に変えることになる。一つ一つやると、とんでもな作業になるので、もちろんここでアプリケーションを使うことになる。
ファイル名を一括して変換するソフトは、一般的に「リネームソフト」と呼ばれるもので、デジカメのデータ管理などに重宝されている。おそらく、デジカメに付いてくるデータ管理ソフトにそういった機能が入っているのだろう。そして、フリーウエアでも沢山ある。しかし、フリーウエアの相当数は「帯に短し・たすきに長し」という状況で、こちらが必要な「年月日時分でリネーム」や「1000以上のファイルを一括リネーム」といった機能を同時に満たしてくれるソフトは意外と少なく、「年月日だけ」とか、「1つづつリネームする」といったものばかり見つかる。10本くらいのソフトを使ってみて、使えるものは結局「名の花(シェアウェア)」というソフトだった。ファイルの数によっては、リネームに相当時間がかかったが、無事にリネームに成功した。2)ファイルをどう抜いてくるか その2 ファイルを法則に沿って抜く
リネームしたファイルを抜いてくる作業は、真鍋さんにバッチファイルを作ってもらった。真鍋さんに言わせると簡単に作れるそうなのだが、そのファイルを画像ファイルのあるフォルダに持ってきて実行すると、自動的にフォルダを作成し、その中に該当ファイルをコピーしてくれる、というバッチファイルを作ってもらった。ここで気をつけなければならないのは、カメラがよく止まりよく再起動をしている、ということ。つまり、蓄積されているファイルが毎日「12時ちょうど」に撮影されているとは限らないため、「12時ちょうどに一番近いファイル」を抜いてくることになる。3)抜いたファイルに番号順の名前をつける
最後に、抜いたファイルをQuicktimeが認識してくれるように、再び番号を付け直すという作業がある。これは前述の「名の花」を使って、すぐに出来る。ファイル名に番号が規則的についていればいいので、古いものから順番に、例えば「tamanew050901125530」「tamanew050901130530」「tamanew050901131530」というファイルを再び「tamanew001」「tamanew002」「tamanew003」といった名称に変換することになる。以上の手順で映像を作る処理は完了。こういった作業をオリジナルのデータで直接やってしまうと、失敗したときにオリジナルが消えてしまうということになってしまうので、必ず別のディスクにデータを丸ごと焼いて作業を進めることになる。実は一番時間がかかるのが「ファイルをコピーする」という作業であり、何せ数がおおいもので、半日くらいは平気ですっとんでしまう。
●定点観測画像を見せる(2005年5月)
定点観測の画像は大きい(メモリが)ので、普段の私が使っているパソコンにはデータを入れていない。そのためプレゼンテーションをするときは、小さな外付けハードディスクを持って行って、現地でハードディスクに落として見てもらっている。
私は殆どの場合、MacのG4ノートの小さいやつを持ち歩いているので、別にこれでも不便はないのだが、定点観測画像を見せるためだけにコンピューターを持って行くことは、もしかしたら不経済なことかもしれない。そこで、もしかしたら、Apple社が、ipodで見られるようにしてくれているんじゃないかと、調べてみた。ipodは、カラーディスプレイになって、静止画像を美しく見ることが出来るようになったのは周知の通り。そこに加えて、ipodにクイックタイムのプレイヤーを載せて、例のホイールで操作出来るようにすればいいだけだ。Appleにとって、実に簡単なことではないかと思ったのだが、結論から言うと、どうやら、現時点でipodで映像を見られるようにする、という方向性はあまりないらしい(このニュース)。一方でこのニュースのように楽観的な観測をするところもあり、まあ、目が離せない状況である。ipodで持って行って、あの小さい画面で見てもらう、場合によってはさっと現地のプロジェクターにつないで映写する、というふうになればいいと思うのだが・・
とはいえ、sonyのPSP(プレイステーションポータブル)を使えばいいといえばいいのだが・・
(後日談)上のようなことを書いていたら、あっさりと映像対応のipodが発売された。よかったよかった。(2005年10月)
●工学院カメラを設置する(2005年3月)
工学院大にカメラを設置した。使用したカメラはPanasonicのKX-HCM130(写真)。大学の中なので、余っているIPアドレスを割り当ててもらって設定をした。問題は、工学院の中からデータをFTPでサーバーに送り出せないこと(これは、何らかの制約がかかっている)で、結局は、工学院の中で一度ウェブにアップしてもらい、それをWebPIlotで定期的に取りに行くことにした。
●QTVRをつくる(2005年2月)
定点観測映像のブラウザを探していて(2004年11月)、世の中にはそこそこQTVR(QuickTimeVirtualRearlity)のマニアがいるもんだな、と感心した。(例えば ここ ここ)
QTVR自体は、98年頃に発表された技術で、決して最新の技術ではない。しかし、爆発的に流行・活用されるでもなくひっそりと活用されているあたりがなかなか「渋い」技術でもある。QTVRを公開しているページにはその作り方も解説してあったりするが、写真を地道に加工するものが多く、自分で作るのはどうかな〜と、簡単に作れるソフトを探していたら、panoweaverというソフトを見つけた。これは決して安価ではないが、まあ都市景観の研究などに使えるかと購入してみた。
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使ってみた感じは、「実に簡単、でも改良の余地有り」といったところだ。魚眼レンズで撮りたいパノラマの前半分と後ろ半分を撮る。それは「へミスフィア画像」と呼ばれるのだが、panoweaverを起動して読み込み、あとはワンクリックすれば二つの魚眼を合体させた画像を自動的に作ってくれる。動作は正直かなり遅いのだが、へミスフィア画像さえ確実であれば、割と綺麗につないでくれる。
出来上がった肝心のQTVRはこれ。昔散々景観の研究をした、山形県鶴岡市の街並み(山並み)で作ってみました。下の方に三脚が写ってしまうが、これはもう少し手をかければ修正が出来る。
「景観研究に」などと言ってしまったのでその点から感想を言うと、人間の目から見たときと比べてパースが効き過ぎてしまうように思う。景観はつまるところ人の目に映ったもの、であるから、目で見えないように写ってしまっているというのは基本的にはまずい。しかし、360度隈無く写し取ってくれるので、後でじっくり見て、思わぬものを発見することは出来そうだ。現地調査などにはとても役に立つだろう。また、パースの角度の法則はあるのだろうから、山の仰角がどう、とかそういう研究には役立つだろう。また、高解像度で撮った画像も、パノラマ化するときに相当粗くしているように思う。これは色々と設定を変えてみると、もう少し改善されるかもしれない。
なお、魚眼レンズを使って前後を撮るというのはとても難しい。特に、前後のへミスフィア画像の「縫い目」を「ぴたっ」とあわせるには、相当の技量がいる(魚眼レンズの凸面の頂点中心にして三脚を回転させる必要がある)。そのため、kaidanというアメリカのメーカーで、魚眼レンズをつけたデジカメをパノラマ用に三脚に固定してくれるアタッチメント(下の写真)を販売している。アタッチメントのメーカーはアメリカだが、カメラはニコンのクールピクス(だけ?)になぜか対応しており、カメラの種類によっていろいろ選ぶことになっている。細かい角度の目盛がついているため、これを使うと、初心者でも「ぴたっ」とした画像を撮ることが出来る。私はたまたま、クールピクスと、それにつける魚眼レンズを以前から愛用していたので、アタッチメントを購入するだけでQTVRを導入出来た。
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また、panoweaverで作った画像を、なぜかQuickTimeのファイル形式である「.mov」で保存ができない。出来るのは「.jpg」の、展開図のような状態の画像ファイルである。これは私の使い方が悪いのかもしれないので、マニュアルを読んだりして色々調べたが、どうもいい解決策が見つからないので、「.jpg」の展開図画像をパノラマ画像にするフリーウェア(MakeCubic)を見つけたので、最終的には「.jpg」の画像を、そのソフトでパノラマ化している。このあたり、「まだまだ改良の余地有り」と思ったところである。
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●WebPIlotを設定する(2004年12月)
世の中には我々が撮り始めるまでもなく、多くの定点観測カメラが存在し、WEBサイトで公開されている。定点観測プロジェクトでは、こういった既設のカメラの画像を収集してアーカイブしておくということもやることになっている。それぞれのWEBサイトにアクセスし、定期的にデータをダウンロードしていけば、アーカイブが作られていく。このようなサイトは本当に多く、定点観測カメラのリンクサイトは凄いことになっている。こちらを使えば、「30年」は分からないが、「100箇所」は訳なく達成出来る。
WEBサイトに定期的ににアクセスし、自動的に画像等のデータをダウンロードするようなアプリケーションは「WEB巡回ソフト」と呼ばれ、フリーウエアやシェアウエアの形であちこちに転がっている。既設のWEBサイトの下にある画像を全て収集してしまう、というようなものから、株価を集めてくるもの、様々な懸賞にひたすら応募し続けるようなものまであるが、シンプルに、定期的に更新される画像を定期的にダウンロードしてくれるソフトは意外と少ない。
その中で活用しているのが「Webpilot」というフリーウエアである。設定は至って簡単で、観測対象のWEBサイトのアドレスを入力し、巡回のタイミング(○分おき、といった形で設定出来る)、収集した画像の保存先、保存ファイル名を設定する。保存ファイル名には、年月日時分をつけることが出来るので、例えば"tokyo-camera0207070915.jpg"といったファイルが保存されていく。(最後に「.jpg」をつけないとエラーになってしまうので、要注意)
作者が「例えば気象の画像を集めると連続画像が作れる」と言っているように、そもそも定点観測にとても向いたソフトである。しかし、難点は.jpg以外の画像をどうやら集められないようになっていることで、例えば、既設の定点観測カメラには、不特定多数が遠隔で操作出来るようになっているものがあるが、そういった画像をダウンロードすることが出来ない。
WebPIlot自体は、2001年8月に最後にバージョンアップがされていない。たぶん、単純なソフトなんじゃないかな〜と思うので、誰かバージョンアップしてくれないかな〜と思う。
●定点観測のブラウザを探す(2004年11月)
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定点観測の画像は、つなげたいコマをフォルダに入れ、アップルのQuicktimeを使って画像にしており、見るときも当然Quicktimeを使っている。Quicktimeは、まあ、シンプルで悪くないインターフェイスであるが、例えば複数地点の画像をさっと検索出来て、ボタン一つで見ることは出来ない。たくさん見るときは、Quicktimeのウインドウがたくさん開いた状態になっている。
研究会では、画像を見るブラウザーもオリジナルで開発することになっており(勝手に目標にしているだけだが)、例えば地図ベースと時間ベースのインターフェイスがあり、そこをクロスさせるとさっと画像が飛び出すような仕掛けができないかと考えている。今現在は、カメラの数も少なく、画像も少ないため、自分の使いたいデータをそのまま取り出して、画像をいちいち作っているわけだが、将来的に大量の画像を多くのユーザーが使うとなると、簡単なインターフェイスを持つデータのブラウザが必要だろう。
私にはそんな技術力が(まったく)無いので、将来的に力をつけて自分で作るか、誰かに作ってもらう時のために、イメージだけでも作っておこう、とブラウザのヒントになる物をさがしてみた。
そこで見つけたのは、次の二つ。両方ともMACとWINであった。
Panorama Backpacker(フリー) http://www.longfingers.com/index.php
EarthBrowser(シェア) http://www.earthbrowser.com/Panorama Backpackerは、世界の色々なところの風景写真を楽しめるというもので、QTVR(クイックタイムバーチャルリアリティ)の技術を使って、風景写真の視点を360度上下左右に動かせるようになっている。要するに球体の表面の内側に写真がはってあって、自分が中心におり、ブラウズできる。これのいいところは、ともかく風景が美しいことで、やっぱり美しくないと人は動かせない・・と感じ入った次第。
EarthBrowserは、地球儀の上を動いて、各地の天気とか温度を知るというもので、これもグラフィックが美しく、感心した。こういう風に地球の表面を動いて、都市の航空写真を呼び出し、各都市のカメラに入っていけると面白いなあ、と思った。この二つは、なんだか定点観測のブラウザのイメージにピタリ、というわけではないが、定点観測以外にも色々と使えるんじゃあないだろうか。
●都立大カメラを設置する(2004年7月)
都立大のカメラは、現行の市販製品のうち、最高の画質が得られるカメラを設置してある。カメラの画質は、一般的にWEBカメラを呼ばれるものより、普通のデジカメのほうがよく(当然、これからWEBカメラの画質が追いついてくるだろうが)、それを定期的に撮影制御出来れば定点観測出来る。
色々(真鍋さんが)調べてくれた結果、パソコンから制御出来て、定期的に連続撮影をしてくれるカメラは、pentax の ist*D(上の写真)しかないだろうということになった。これは、付属(pentaxのホームページからダウンロード出来る)のPentax Remote Assistantというアプリケーションがあり、MACからもWINからも、USB経由で自動で撮影出来、撮影した画像はコンピューターにオリジナルのファイル名に古い順から4桁の数字をつけた名前(例えば、town1459.jpg)をつけてためていくことができる。撮影感覚は20時間から秒単位までで設定出来(すなわち、24時間に一枚という設定が出来ないのがちょっと難点だが)、連続で999枚まで撮影出来る(これも、もう一桁増やしてくれよと言いたくなる)。15分に一枚の割合で撮影をすると、1時間に4枚、24時間で96枚であるから、だいたい10日に1度くらい、再設定をしないとカメラが止まってしまう。
設定してみて使ってみたところ、一言でいうと「7割くらいの安定感」で撮影をしてくれる。まず問題になったのは、夜中にまで撮影をしていると、対象物が無くなってオートフォーカスが出来なくなってしまい、その段階から「エラー」となり、撮影が止まってしまうことである。これは、「オートフォーカスしない」という設定にすることで解決した(分からないときは、なぜ夜中になると止まってしまうのか、本当に悩んだ。それが12時だったり、4時だったり色々だったので余計に謎だった)。
しかし、なぜかそれが解決されても、例えば3日間快調に撮影を続けていて、4日目の昼間に突然止まってしまったりする。しかも、エラーが出て止まるのではなく、ソフトウェア上ではずっと「成功」しているからくせ者だ。pentaxにも相談をしてみたが、確かに問題は認識しているようだが、まだきちんとした回答はもらえていない。(「いやーそういう使い方は想定していませんでしたよ」と担当の人に言われた)
しかし、だいたい私は2〜3日に一度は確実に大学の研究室に来るので、来るたびにこまめにチェックをして、再設定をするようにしている。今までのところあまり大きなインターバルで撮り逃したことはない。
なお、カメラとレンズは別売りで、レンズはFA20mmF2.8という広角のものをつけている。撮れる画像はさすがに綺麗で、私の部屋は小高い丘の上のキャンパスのさらに8階にあるからいいものの、建て込んだ市街地の中だと、色々なものが写り過ぎてさすがにまずいことだらけだろう。
撮影用のパソコンもあわせると、カメラ=10万円、レンズ=6万円、パソコン=10万円・・・と実に高い。安定感も無いが、どちらにせよ、このタイプは盗難が怖くて目の届かない屋外に置くことが出来ない。(このカメラを監視するカメラをつけたりして)
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